ボストン美術館 浮世絵名品展 鈴木春信@あべのハルカス美術館
ちょうど左側に見える建物が先ほど行った大阪市立美術館ですね。
真ん中あたりに見えるビルの上にあるお城はなんだろ???
春信の頃の錦絵は、植物から作られた絵の具が中心で、特に紅による赤、紅と露草(青花)の混色による紫は、光によって退色してしまうことが知られています。
ボストン美術館が所蔵する浮世絵版画は、長く展示されることがなかったため、多くが良好な状態で保たれてきました。
今回、日本で出品が叶うため、今後も良好な状態を守るべく、里帰りの前後各5年、合計10年間、ボストン美術館でさえ展示をしないことになっているそうです。
大事に扱われていたから、こんな綺麗な状態で見ることができるのね、感謝だわ。
ボストン美術館には、600点以上の春信作品が所蔵され、世界一のコレクションを誇っていますが、このうち半数以上を占めるスポルディング・コレクションは門外不出!たとえボストン美術館であっても展示されることはありません。
今回はそれと並ぶ質量を誇るビゲロー・コレクションより選りすぐりの作品を展示しています。
うぅー、スポルディング・コレクション…見てみたいなー。
春信作品の特徴でもあると思うのですが、男性も女性も若々しい雰囲気で男女の顔に違いがあまりなく、中性的な雰囲気があります。
男性は美少年で、女性は可憐な少女…って感じがしませんか?
右の桃の木から一枝を手折ろうとしているのが若衆なので、男性です。
こちらも夜の闇に紛れて菊花壇に近づいているのが若衆なんです。
着物を見ると娘の着物と違うので男性とわかるかも…ですが、顔は美少年ですよね^^
左の娘は、肌が透けて見える夏着を着ていることがわかります。
左は扇の地紙売りの若い男。
昔は、こんな形で扇を売っていたんですねー。
先日、京都で扇屋でお話を伺ってみましたが、今のような出来上がった状態ではなく地紙を箱に入れて、仕立てて販売していたそうです。
この錦絵は、鷺娘というのですが、これが凄くて!!
もう実際に目にしないと凄さが全然わからないと思うのですが…
白い振袖の部分には模様が描かれています。
これは、色彩を使わずに版木の凸凹を紙に食い込ませる空摺という手法です。
雪が降り積もっている部分は、凹版を用いたきめ出しという手法で盛り上げているんです!!
贅沢で手が込んだ浮世絵ですよねー。
空いていたので、1枚1枚の浮世絵に張り付いて鑑賞することができました^^
贅沢な時間でした♪
明和期(1764-72)の初め、武家や裕福な商人の趣味人たちを中心に私的な摺物である絵暦の交換会が流行し、趣向を凝らした絵が必要とされたことから、錦絵の普及につながったそうです。
陰暦では30日ある大の月と29日の小の月があって、その順番が毎年変化したので、大小の月を絵の中にひそませて示した洒落た趣向の摺物。
この錦絵の中にもひそんでいるのですが、陰暦に馴染みがないので説明されないとよくわからないですね^^;
展覧会があまりに素晴らしかったので、やっぱり図録を買ってしまいました(汗)
展覧会、ホントに素晴らしかったです!!
人が少なかったので、じっくり鑑賞できてとってもよかったのですが、やっぱりもっとたくさんの方にも知ってほしいなーという気持ちもあって、複雑です(笑)
いろんなものが許せば、もう一度見たい展覧会でした。
by wvyumavw
| 2018-06-03 21:32
| 2018.4 大阪旅行